医療と病院の裏側

医者の仕事のやりがいは何?診療科ごとに友人医師に聞いてみました。

医者の仕事にやりがいはあるか?

中学や高校の同級生に会うとたまに聞かれるこの質問。

友達
友達
医者ってめちゃしんどそうだけど、やりがいって何?
私
そーだなあ、やりがい・・・改めて聞かれると、うーん。

医者として毎日忙しく患者さんと向き合っていると、改めて「医者のやりがいって何?」と聞かれるとなんだろう?と考え込んでしまいました。

人の健康や病気に携わる、貴重な仕事をさせてもらっているなあという実感は日々持っていますが、今回は「やりがい」について考えてみます。

働く環境によって医者のやりがいは大きく異なる

一口に医者の仕事は忙しいと言っても、働くシチュエーションによってその内容は大きく違います。

医師としてよくある働き方をざっと書いてみると・・・

・大学病院の勤務医

・日赤など急性期病院の勤務医

・中規模の市立病院・私立病院の勤務医

・小規模病院の勤務医

・診療所勤務

・在宅診療医

・産業医(企業に雇われている)

・健診を主に診る医師

・アルバイトで生計を立てる医師

特殊なケースを除けば、多くの医者は上記のような状況で医師の仕事をしていることが多いと思います。

基本的には、上の方に書いてあるシチュエーションでは重症な入院患者や外来患者を担当することが多くなり、それゆえ日中は忙しく、帰宅するのも遅くなり、土日も病院に顔を出し、緊急対応時には容赦なく病院に呼ばれます。

一方で下の方に書いてあるシチュエーションのお医者さんは、比較的安定した患者さんを診ていることが多く、そのため緊急対応で呼ばれたりするケースは非常に稀で、勤務時間は9-17時、土日祝日は休みという状況に近づきます。

(ちなみに忙しければ給料は高いのかというと、実は逆。上に行くほど給料は安く、あまり忙しくない中規模〜小規模病院の方が相対的に給料が高いのが医者の現実です。。)

やりがいは人それぞれだが診療科によって全く違う

働くシチュエーションがこれほど違うと、「やりがい」も全く違うのも当然のこと。

大多数の医師は勤務医ですし、また一般的にイメージする医師像も勤務医が多いと思うのでこれから先は勤務医の「やりがい」について書いてみます。

幸い、私には医学生時代の友人、研修医時代の友人、部活動の先輩後輩などいろんな友達がいろんな診療科に進んでいるので、なんとなく皆さんに「やりがい」を聞いてみました。

腎臓内科

まず私から。

私
先生には話しやすいし相談しやすい。先生に診てもらえてよかったと言われる(もしくは感じる)ときですかね。。

腎臓内科はネフローゼ症候群糸球体腎炎など特殊な病気も診ますが、大半の患者さんは高血圧や慢性腎臓病など生活習慣病+αの方が多いです。

そのため、「がんを手術で取った!やったぞ!」というやりがいはありません

その代わり、患者さんから信頼を得ているなあとか、感謝されてるなあと感じるときは、やりがいを感じる時ですね。

あと、

私
ちょっとした電解質異常や腎機能障害・蛋白尿について知識が深いので、同僚の医師から相談されることが多く、医師の中で頼りにされてるなあと感じる時も、やりがいを感じる時ですかね。。

循環器内科

続いて循環器内科。なぜか私の友達は循環器内科が多いです。。

循環器内科医
循環器内科医
そりゃあ心臓カテーテル治療!心筋梗塞で運ばれてきた患者さんを助けるのは、本当に医師冥利につきるよ!

という先生が多かったです。

確かに循環器内科は内科の中でも花形。
一分一秒を争う心筋梗塞を、カテーテルで治療完結できるのは循環器内科の大きなやりがいです。

まさに命を救っているので、患者さんからも感謝されることが多い仕事と言えるでしょう。

ただし、その仕事内容は極めて過酷です。

緊急でカテーテル検査&治療をするということはつまり、「病院から呼び出しがあったらたとえ夜中でも休日でも駆けつける場所にいる」必要があり、多くの循環器内科医はそのような日々を送っています。

たとえ休日で、子供と楽しく過ごしていても、緊急患者が来たら飛んでいかなくてはいけない・・・。本当に頭の下がる仕事です。

血液内科

続いて血液内科。

血液内科医
血液内科医
白血病など血液のがんを治療できたときかな。命を救えている実感があります。

とのこと。

血液内科はややマイナーなイメージがあるかもしれませんが、こちらも仕事内容は極めてシビア

治療対象が血液系の癌なので、循環器内科とは別のところで命と向き合っている診療科です。

抗がん剤治療によって免疫力が低下している患者さんが多く、重症な感染症を併発したりするととても大変な日々となります。。

ただ、血液領域の腫瘍はどんどん新しい薬剤が登場しており、治せる病気も増える方向にあるのでやりがいはあると言えるでしょう。

消化器内科

内科の中ではもう一つの花形、消化器内科。

消化器内科医
消化器内科医
やっぱり胃カメラでの治療かなあ〜。外科的に切らずに治せる病気も増えてるし、やりがいあるよ!

とのこと。

消化器内科は実はかなり裾野の広い診療科

大腸専門の先生もいれば、胃十二指腸専門の先生もいて、はたまた肝炎の専門の先生もいるといった具合に消化器内科の中でも専門性があります。

なので、扱う病気の中には命に直接関わるものもあれば、そうでないものもあります。

癌を相手に戦いたいかどうか、で大きく医者としてのやりがいも変わってくる診療科かもしれませんね。

救急医

最後は救急医。

救急医
救急医
救急はストレスもあるけど常にやりがいを感じやすい。特に若い人の重症外傷とか心肺停止などは、本当に自分の腕次第で救命できたりするので、やりがいがある!

私自身も昔救急医をしていたので、この気持ちはめちゃくちゃわかりますね!

イメージはまさに「コード・ブルー」ですが、やはり救命は医学の根本
実際に人の命を助けている実感は半端ないものがあります。

救急医は、シフト制で勤務できる病院も増えて来ているのでワークライフバランスを取ることも可能な仕事になりつつもあります(ただし地域差がかなりあります)。

やりがいのあっていい仕事なんですけど、実際には本当の救命をする場面5%、深夜に風邪や腹痛やめまいの対応に追われるのが95%、という仕事内容の救急医も多いのではないでしょうか。。

それが楽しいと思うか、辛いと思うかによって医師としての幸せ度は大きく変わりそうです。。

まとめ

医者のやりがいって何か?

改めて考えてみると、診療科によっても人によってもかなり違いがあるのがわかりました。

最近の医療の進歩のスピードはとても速く、医師はかなりの専門性を求められる時代になっています。

医師として自分のやりたいことは何か?よく考えて自分の専門領域を決めるのも、これからの若い先生には必要なことかもしれません。